韓国人が思うJ-POPの印象

 

また、K-POPはリズム以外にも様々な魅力がありました。まず洗練されたパフォーマンスと楽曲のクオリティだ、K-POPアイドルは、何年間もの練習生を経験しており、デビューしてからも厳しいトレーニングを積んでいる。磨き上げられたパフォーマンスは、まさに圧巻だ。ステージ上での表現力やカメラに向かってアピールする方法まで細かなところまで魅力がありました。次に、K-POPアイドルはグループごとにテーマやコンセプトが決められており、それに合った世界観の中で音楽やパフォーマンスが作られているのも面白い点だと思いました。

さらに、私が一番日本と違うと感じた点は、デビューするまでの物語が一人一人多くあるといった点である。日本では、デビューはしていたものの売れずにいた人が何かをきっかけに急にSNSで注目されることが多いと思う。しかしK-POPアイドルは、デビューまでの長いストーリーがあり、そこで頑張る姿や成長している姿に惹かれてデビュー前からファンになる人もいるだろう。また、K-POPのオーディション番組はファン参加型の投票システムがある。視聴者がメンバーを決める一つの手段になっていることはとても斬新で興味深いと感じました。 

これらの事からＫ-POPがなぜ日本で人気かはわかりましたが、韓国では最近Ｊ-POPが流行っていると聞いた。最近韓国の音楽チャートに日本の曲がランキングに入ることが多くなってきているからだ。

では、韓国人からみたJ-POPの印象はどのようなものなのでしょうか。

この韓国インターンの間に白石大学の生徒と交流するという国際交流があったので韓国人に直接聞けるチャンスでした。その時に、J-POPについてどのように思っているのかを調査してみました。

1.メロディが独特で美しい

J-POPはメロディラインが豊かで、コード進行が複雑なものが多いため、「美しい音色」だと感じる人が多くいるだろう。特に1990年代や2000年代のJ-POPは、KPOPアイドルがLIVEやyoutubeなどでカバーしていたりしているため人気があることがわかる。

 

特に韓国で人気なimaseさんは、一度聞くと頭に残ってしまうようなメロディが多く、TIKTOKなどのSNSで、音楽に合わせて「ダンス踊ってみた」動画がどんどん拡散されて世界中に広まっていきました。このようにJ-POPは少し変わった音源などが多くあり人気が出るのかなと感じました。

 1990年代：J-POPの黄金期

1990年代、日本の音楽は韓国でも広く受け入れられていました。当時はX JAPAN、L'Arc〜en〜Ciel、浜崎あゆみ、宇多田ヒカルなどが人気を博し、J-POPの影響は強かった。しかし、この時期は韓国国内での日本文化の輸入が制限されており、一部の音楽ファンのみがJ-POPを楽しむ状況になっていました。

 2000年代：J-POPの全盛期とK-POPの台頭

2000年代に入ると、BoAや東方神起といったK-POPアーティストが日本市場で成功を収めた一方で、日本の音楽も韓国で人気を維持していました。特に、倉木麻衣や浜崎あゆみの楽曲は、韓国でも広く知られるようになっていました。しかし、この時期からK-POPが本格的に海外進出を始め、韓国内でもK-POPの人気が高まっていった。

2010年代以降：K-POPの世界進出とJ-POPの影響力低下

2010年代に入ると、K-POPの世界的な成功により、韓国内でのJ-POPの影響力は相対的に低下していきました。BTSやBLACKPINKといったグループが世界市場で成功を収める一方、日本の音楽は国内市場を中心とした展開が続いた。そのため、現在の若い韓国人の中には、J-POPをあまり聴いたことがない人も増えています。

 

 

 

2．アレンジやサウンドが独特

K-POPは欧米のトレンドを取り入れたサウンドが多いのに対し、J-POPは日本独自のアレンジやコード進行を持っているため、「どこか懐かしい」「アニメの主題歌みたい」という印象を持つ人が多くいました。特にアニメファンの韓国人はJ-POPの楽曲に親しみを感じることが多く、ランキング上位に上がる曲もアニメの主題歌ということが多いような気がする。

また、J-POPは音楽の幅と多様性にも長けていると思えるだろう。JPOPは音楽のジャンルが非常に広いのも特徴で、ポップ、ロック、エレクトロニカ、さらには演歌まで、さまざまなスタイルが存在する。これにより、JPOPには個性的なアーティストが多く、韓国の音楽ファンにも受け入れられやすいという点があると思いました。

3．歌詞が詩的でストーリー性がある

J-POPの歌詞は比喩や情景描写が多く、まるで小説や詩のような表現が特徴的だ。韓国の音楽は比較的ストレートな表現が多いため、J-POPの歌詞は「意味が深くて難しい」と感じる韓国人もいますが、その独特の雰囲気を好む人もいる。

 これらの3つのことからわかることは「Night Dancer」（imase）や「可愛くてごめん」（HoneyWorks）、「アイドル」（YOASOBI）のように、短いダンスコンテンツが作れる曲が韓国でも類例のない大きな人気を集めているということ。特に、この3曲は、K-POPアイドルたちが先を争ってダンスチャレンジに挑戦したことで、一般大衆の参加を引き出した。J-POPが人気になる為には、K-POPアイドルがその曲で踊って見たり、音源を使うことが重要になると思いました。

一方、「愛を伝えたいだとか 」（あいみょん）や「Lemon」（米津玄師）、「ベテルギウス」（優里）といったソロアーティストの楽曲は、ダンスチャレンジよりも感性的なJ-POPを紹介するショートフォームコンテンツを通じて少しずつ韓国大衆の間で好感を獲得している

  

4．魅力でもあり壁になる可能性も

韓国では欧米の影響を受けたEDMやヒップホップが主流になっているのに対し、日本の音楽は独自のスタイルを貫いている。

この点について、韓国のJ-POPファンの一人は「日本の音楽は、時代に流されずに自分たちのスタイルを持っているのが魅力。でも、K-POPのように海外進出を狙ったマーケティングが少ないから、韓国ではあまり耳にする機会がないのが残念」と感じている人がいるのも事実だ。たしかに日本のアーティストが海外に進出することは少ないように感じる。特に、アニメの主題歌として売れていたりK-POPアイドルがカバーをしている曲じゃないと海外で広まる可能性が低いと思いました。

 

 

 

5．アイドル文化の違い

K-POPのアイドルはダンスやボーカルのスキルが高く、トレーニングを重ねた「完成度の高いパフォーマンス」が魅力。一方で、J-POPアイドルは個性やキャラクターを重視し、リスナーとの距離が近い存在として親しまれている。たとえば、AKB48や嵐のようなグループでは、ファンとメンバーの親密さが大切にされ、ファンイベントでの交流が一つの魅力となっていたと感じていました。そのため、JPOPのアイドルは韓国のKPOPアイドルに比べて、少し「身近な存在」として感じられることが多いはずだ。ファンとの距離が近いため、より人間的な魅力を感じることができるという点でJPOPのアイドルには特別な魅力があると感じる人も多いようだ。

実際に「K-POPはアイドルがアーティストのように見えるけど、J-POPは親しみやすい感じがある」と話す韓国の音楽ファンも多い。ただし、一部の韓国人からは「パフォーマンスのレベルがK-POPと比べると低い」と感じる声もある。

 

6．アニメの主題歌がJ-POPの入口

J-POPの人気を支えているのが、日本のアニメ文化ではないでしょうか。韓国でもアニメの影響でJ-POPを知る人が多く、特に「炎炎ノ消防隊」のオープニング曲「インフェルノ」（Mrs. GREEN APPLE）や「新世紀エヴァンゲリオン」の「残酷な天使のテーゼ」は世代を超えて愛されている。

「アニメの世界観とJ-POPのメロディーがマッチしていて、より感情移入しやすい」という声もあり、アニメを通じてJ-POPを好きになる韓国人が増えている。実際に白石大学との交流の際に、日本の曲で何を知っているか聞いてみるとアニメの主題歌の曲ばかりでした。アニメが韓国人にとってJ-POPを知る一つの方法になっていることを知ることができました。また、カラオケに一緒に行ったのですが、その時に白石大学の生徒さんが歌っていたのも「推しの子」というアニメで人気な作中で流れてくる歌でした。その他にも、Vaundyや西野カナ、Official髭男dismなど様々な日本のアーティストの曲を歌っていて感動しました。

 

これらのことから私が思ったことは

韓国人が感じるJPOPの印象について考えると、KPOPとの違いが多く見えてきました。日本の音楽は、韓国の音楽シーンではKPOPほどの影響力を持っていないものの、一定の魅力を持ち続けており、特に音楽的な特徴や文化的な背景において独自の魅力を発揮しているのではないでしょうか。JPOPに対する韓国人の感覚は、シンプルでわかりやすい部分から、時には深さに欠けると感じられる部分まで、さまざまな側面があるとわかりました。

まず、JPOPの音楽における特徴として、そのメロディーと歌詞がある。JPOPは一般的にシンプルで耳に残りやすいメロディーが多く、感情表現が直球であることが特徴だと考えました。恋愛や日常の小さな出来事をテーマにした歌詞が多く、共感しやすいと感じる韓国のリスナーも多いだろう。しかし、韓国の音楽に比べると歌詞はあまり哲学的な深みや社会的メッセージが込められていないことが多いため、時には物足りないと感じることもあるのではないのかなと思いました。KPOPのように、グローバルに向けたメッセージ性や強い意図を込めた歌詞が少ない点では、JPOPはどこか“軽い”印象を与えることがあるのかもしれません。

次に、JPOPのパフォーマンスについて考えてみると、KPOPと比較して控えめであるという意見が多いことがわかりました。KPOPのパフォーマンスは、ダンスや歌のシンクロ、エネルギッシュなステージが特徴的で、観客を圧倒するようなインパクトがある。それに対して、JPOPのアイドルグループは、歌唱力や個々の個性に重きを置いており、ダンスは比較的シンプルだ。例えばMrs.グリーンアップルはボーカルの大森元貴さんの歌唱力が特徴的である。彼は、日本のアーティストの中でも上位に必ず入る実力者で、LIVEではその歌唱力に涙を流してしまうほどだ。そのため、KPOPのような派手なダンスパフォーマンスを求めている人にとっては、JPOPは少し物足りなく感じてしまうのかもしれません。しかし、逆に、JPOPの繊細で優雅なパフォーマンスは、エネルギッシュで激しいKPOPに比べて、落ち着きや温かみを感じるという意見もある。このように、JPOPのパフォーマンスには、力強さよりも柔らかさや感情を重視する部分があり、これは日本の音楽や文化に親しみを感じる韓国のリスナーにとっては魅力的に映ることがあると思いました。

また、JPOPの音楽ジャンルの幅広さも、韓国人にとって魅力的だと思える。JPOPは、ポップスからロック、ジャズ、エレクトロニカ、さらには演歌など、さまざまなジャンルをカバーしており、音楽的な選択肢が豊富だ。これにより、特定のジャンルに強い関心を持つ韓国の音楽ファンにとっても、JPOPには新たな音楽的発見がある場合があると考えました。また、アニメソングが韓国の若者文化にも広く浸透しているため、アニメのオープニングやエンディングに使われるJPOPが、韓国のリスナーにとって親しみやすい存在となっている。それでも、JPOPがKPOPほどグローバルに展開していないため、韓国ではJPOPに対する知名度がKPOPに比べて低いことが多いのではないでしょうか。しかし、アニメ文化の影響で、JPOPは一定の人気を持ち続けており、韓国でも一部のファンに愛されている。

文化的な背景においても、JPOPとKPOPには明確な違いがある。KPOPは、エネルギッシュでグローバル市場を意識した音楽作りが特徴的で、しばしば「革新性」や「刺激的」と評されることがある。これに対して、JPOPは比較的穏やかで優しい印象を与える音楽が多く、歌詞やメロディーの表現が直接的でありながらも、深い社会的メッセージよりは個人的な感情を大切にする傾向があると思いました。日本のアイドル文化もまた、韓国のアイドル文化とは少し異なるでしょう。日本のアイドルはファンとの距離が近く、ファンイベントや握手会などを通じて、より親密な関係を築くことが重視されるだろう。これに対して、KPOPは完璧なパフォーマンスや外見を重視する傾向が強く、アイドルとしての“完璧さ”が求められます。このような文化的な違いは、JPOPが韓国のリスナーにとって新しい魅力を感じさせる要素となっている。

総じて、韓国人が感じるJPOPは、KPOPとは異なり、感情豊かで穏やかな音楽が特徴的であり、親しみやすさや共感を呼び起こす要素が多く含まれていることが分かりました。JPOPは、シンプルで直感的な歌詞やメロディーが、韓国のリスナーにも受け入れられる一方で、深みや複雑さに欠けると感じることもある。それでも、JPOPはアニメソングやアイドル文化など、特定のジャンルやカルチャーを通じて、韓国でも一定の影響力を持っており、ファンの間で根強い人気を誇っているだろう。JPOPとKPOPは、異なる文化的背景や音楽スタイルを持ちながらも、それぞれが独自の魅力を持ち続けていることは間違いなく、今後もお互いに影響を与えながら発展していくことでしょう。記者：神戸国際大学 鎌倉大和