
飲食業界に興味があり、今までたくさんの料理を食べてきましたが、その中でも特に日本料理(和食)と韓国料理が好きです。ですが、現地で食べる本場の味とそうでないものを食べてみて、かなり大きく差があり非常に悲しく思いました。本場の味を自国に帰って再現するのは大変で難しいことではありますが、初めて食べる料理で印象が決まるのに美味しいくなければ苦手意識を持つため、食べた人はその料理を口にする可能性は下がってしまうと思います。そうならないためにはどうすれば良いのかについて考え、日韓飲食の『派遣型インターンシップサービス』を考えました。まずは日本人から韓国料理はどう思われているのか見ていきます。
◆ 日本人から見た韓国料理
1.日本人から見た韓国料理への印象
下のグラフは少し前のデータになりますが、2022年度の日本人から見た韓国料理への印象です。この図から読み取れることは、まず半数の人が好印象であるということ。それはなぜか推測してみると二つの要因が挙げられる。近年の韓国ブームの影響で韓国のへの印象が良いと感じる人が多くなってきていることが要因の一つで、もう一つの大きな要因は現地にある日本料理店や韓国料理店の増加にあると思う。だが一方で、良くないと答える人も少なくはなくその原因には、過去の日韓関係が大きく関わってくるのだと考えられます。ですので、40代・50代のデータを見てみると、やっぱり他の年代に比べて「非常に良い」と答える人は15%近く少なく「良くない」と答える人は10%から15%多いと読み取れます。このことから年代によっては時代背景が影響しているのも一つの要因です。また、もう一つの原因があると私は考えました。それは、日本にある韓国料理店のレベルの低さが挙げられると思いました。
私自身よく日本にある韓国料理店に行くのですが本場レベルに近いものは少なく、さらに本来の料理とはかけ離れているものも少なくありません。いくら日本人の口に合うように変えているとはいえど、あまりにもひどくリスペクトが感じられないため、その料理への冒涜だとも感じ取れ、元の料理の味を知らない人はそれを食べて良くないと思ってしまうのも仕方ないことだと思えます。

2.日本人が日本にある韓国料理店に求めるポイント
グラフは韓国料理店に行く際に何を重視するのかというアンケート結果です。一番重視されているポイントは、47%で「本場の味に近い」ということです。日本に住んでいながら本場に近い味が食べられることがどれほど重要なことなのかがわかります。だが一方で反対に「日本人向けにアレンジされている」ということもほぼ近い割り合いで思われています。この理由が45%もの人に思われているのは、韓国料理は唐辛子が使われている料理が多くあり日本人には辛すぎると感じてしまう人がいることがこのポイントが上位にくる大半の理由だと思います。このような結果からわかることは本場の味に近い方が良いと思う者と日本人向けの味付けを好む者がほぼ半々だということ。そして、日本にある飲食店がしなければならないことは本場の辛さと日本人向けの辛さであるということが求められているのだ。
それから、ほかの理由としては「珍しいメニューがある」であったり、「内観が素敵」という二つの理由も寄せられており、30%近くも思われている。たしかに、韓国料理では日本料理には使われない食材や調味料が使われていることも多々あります。そのようなことから珍しいメニューがあるという意見が多くある理由なのではないでしょうか。次に内観が素敵ということについてです。これまた共感できることがあり、日本にある韓国料理店は内装に凝っているお店がかなり多く感じられます。また私が以前訪れたことがある韓国料理店の「人生酒場」では外観にも非常に凝っておりお店に入る前からインパクトがあり他の店よりもひときわ存在感が出ていました。
・日本人からの韓国料理店への関心
グラフの新しい韓国料理店ができたら行きたいと思いますか?というアンケートで肯定的な回答(非常に思う、思う)を答えた人は半数以上をしめており、近年の韓国料理ブームや韓国料理の認知度が覗えます。20代のアンケート結果では、71%も肯定的な回答が寄せられており、30代40代50代以上よりも圧倒的に人気が高いこともわかります。

◆ 飲食に特化した「派遣型インターンシップサービス」の提案
日本にある韓国料理店と韓国にある日本料理店のレベルを上げるために、また日韓関係の向上のためにはどうすれば良いのかについて考え、日韓飲食の『派遣型インターンシップサービス』を考えました。ですが、これを実現するには様々な問題点や課題があります。
◆ 問題点と課題
1. 言語の壁
まずは、根本的な問題である海外でインターンシップするにあたって、インターン生は現地の言語能力が必要であり、わからないままではインターンも成り立たないと思いACOPIAを見習い、現地での日本語教室・韓国語教室の実施を考えました。また韓国には国が運営する外国人用の言語センターがあるそうで、そちらへの誘導も行えたらいいなと思います。
2. インターンのターゲットの確立
次に、ターゲットの確立についてです。主要なターゲットは調理師専門学校または製菓専門学校の在学生および卒業生をメインターゲットにしようとおもっていますが、学校との提携や人脈を作っていかなければならないこととターゲット層が限られてくるので、ターゲット層拡大のためにも飲食関係の従事者への認知を広げていかなければならないと思いました。
3. インターンシップ先のマッチング
インターン先との提携を結んでいかなければならなく、日本と韓国の個人経営飲食店や、地方のローカルチェーン店、小規模フランチャイズ店と提携を結べればいろんな種別の飲食店とうまくつながれるのではないかと思いました。
4. インターンシップ生の宿泊先の手配
そして、インターン生の宿泊先に関してでこれもまた、ACOPIAを見習いシェアハウスやコシウォン、ホームステイ先の手配ができれば利用者は楽にインターンを進められて、利益の拡大にも繋がるので良いなと思いました。
◆サービスからの収益化
1. マッチング手数料
インターン受け入れ店舗からの紹介料(1件当たり固定or成功報酬)
※インターン生側になんらかの問題が発生した場合は返金対応

2. プログラム参加費
インターン生または学校側からの研修費、参加費(期間に応じて変わる)
3. 現地サポート費
住居手配での紹介料および住居の家賃から
・他のサービスとの差別化ポイント
飲食業界に特化した専門性の高いマッチングシステムで、現地に住むことによって得られる文化への知識と食の融合をテーマに伝統料理から最新のフードトレンドまでも学べるプログラムが特徴であり双方向の交流(韓国→日本、日本→韓国の相互派遣)で両国の市場を広げ盛り上げることである。
◆ 実現のためへのステップ
1. パートナー店舗の開拓
韓国と日本の現地の飲食店に紹介し、インターン先店舗の獲得すること。
2. インターン希望者の誘導ルート
調理学校と提携を結び、学生へのインターンを促す。飲食業従事者へのPR活動
3. 派遣プログラムの運営
申し込み・問い合わせの受付と現地でのサポート
4. SNSでの事例発信とブランド構築
インターン生の実例やその後どうなったのかをまとめSNS・メディアにて発信し拡散すること。
実現するステップでは以上のようなが挙げられる。
◆現地の韓国人が体験した日本料理への感想
弘大で美味しいとうわさを聞いて列に並んで食べたラーメンがおいしくなく一口食べてみたがスープは水のように味が薄く麺も茹ですぎていておいしくなく退店してしまった。でも、日本料理店は美味しい店も多くあって日本の料理も大好きです。(韓国人大学生 20代女性)
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僕は、日本料理が大好きで特に焼き鳥が好きなのですが日本で初めて焼き鳥を食べ、おいしさと安さに感動してとても満足でしたが、韓国に帰り焼き鳥を食べましたが味が日本ほどおいしくなく炭の香りが少なかったです。それから値段も高くショックで韓国ではあまり焼き鳥を食べたくなくなりました。日本に行ったらまた食べたいと思います。(韓国人大学生 20代男性)
・現地在住の日本人が経営する日本料理店
営むこととなったきっかけ
きっかけは、まず現地の語学堂で韓国語を学んでいる時にその時にできた友達が日本料理居酒屋を経営していて、その店がとても人気だったので飲食店をしてみようと思ったのがきっかけでターゲット層は10代から30代前半で弘大付近は学生や若者に人気だからだそうでメニューには丼ものや揚げ物の食べ物がメインです。(弘大カエシクタク 30代女性)
◆ このシステムの良い点と社会への貢献度
① 人材不足の解消
日本の飲食業界は慢性的な人手不足に悩まされていて、特に地方の飲食店経営者の高齢化や飲食店自体の減少もあるため、インターンとして受け入れることで労働力の補填にもなります。韓国でも経営者の高齢化が見られる。
② 異文化交流とグローバル化の促進
日本と韓国、両国の食文化を学びあうことで双方の飲食業の発展に貢献でき、言語能力と接客マナーの学びがホスピタリティの向上に繋がると思われる。
③ 日韓関係の改善に貢献
ましになったとはいえ今もなお、政治的対立があるなか民間での交流を促進することで相互理解を内面的なところから深めることができるとおもいました。
④ 飲食業界のスキル向上と多様化
インターンシップを終えて韓国料理の専門知識を身につけた人材が日本に帰り飲食業界へ参入すればメニューの多様化が進み。逆も然り、韓国の飲食業界のレベルアップとメニューの多様化が進むと考えました。
また、両国の職人技術が双方に伝わり、より高品質でおいしい料理が提供されるようになります。
⑤ 新しい飲食ビジネスの創出
韓国や日本の若手シェフや飲食関係者が双方の国の技術を学び、韓国で新しいレストランやカフェを開業する機会が増えるから飲食業界の競争も盛んになる。また日本企業は韓国市場に韓国企業は日本市場に進出を考え、進出の際に現地の事情に詳しい人材が重要視されるためインターンの経験が活かされることが予想できる。
◆ 日韓の飲食業界をつなぐ「派遣型インターンシップサービス」の意義と可能性
最後に日本と韓国の飲食業界は、それぞれ独自の文化と歴史を背景に発展してきた。韓国料理は日本でも高い人気を誇り、逆に和食も韓国で広く受け入れられている。しかし、現状では**「本場の味」が十分に伝わらないケースが多く、料理そのものの評価や認知度に影響を与えている。例えば、日本の韓国料理店では、日本人の味覚に合わせてアレンジされすぎていたり、逆に韓国の和食店では、調理技術や食材の取り扱いが本来の和食とは異なっていることがある。このような状況では、消費者が本来の味を知らずに「韓国料理は辛すぎる」「日本料理は味が薄い」といった誤解を持つことにつながり、料理そのものの魅力を十分に伝えられない。
こうした問題を解決し、日韓の飲食業界をより良い方向へ導くためには、「派遣型インターンシップサービス」が有効である。このサービスの導入により、料理人や飲食業従事者が本場の技術や文化を直接学び、実際の現場で経験を積むことができる。インターン生が現地の店舗で実践的に学ぶことで、調理技術だけでなく、食材の使い方や現地の接客マナー、食文化の背景まで理解できるようになる。その結果、日本に帰国した際には、本場の味を再現できる料理人として活躍することが可能になる。一方で、韓国の料理人も日本で和食を学ぶことで、本物の技術を身につけ、韓国国内で高品質な和食を提供することができるようになる。このような交流が進むことで、日韓双方の飲食店のレベルが向上し、より本格的な料理が提供されるようになる。
さらに、このインターンシップサービスの効果は、単に料理の質を向上させることにとどまらない。飲食業界の人材不足の解消にも寄与する。日本の飲食業界は、少子高齢化に伴い慢性的な人手不足に陥っている。特に地方の飲食店では、後継者不足や労働力の確保が課題となっており、多くの店舗が閉店を余儀なくされている。一方、韓国でも飲食業界は競争が激しく、特に若手料理人にとってはスキルを磨く場を見つけることが難しい。こうした状況の中で、日本の飲食店が韓国からのインターン生を受け入れれば、短期間ながらも即戦力となる人材を確保できる。また、韓国においても、日本の料理を学びたい若手料理人にとって、日本の飲食店での経験は貴重な機会となる。このような相互補完の関係を築くことで、日韓の飲食業界の活性化につながる。
また、このプロジェクトのもう一つの大きな意義は、日韓関係の改善に貢献できる可能性があるという点だ。近年、日韓関係は政治的な問題によって不安定な状況が続いている。しかし、飲食業界においては、政治とは別に「食を通じた交流」が活発に行われてきた。食文化は国境を越えて人々をつなぐ力があり、実際に日本でも韓国料理ブームが続いているように、多くの日本人が韓国料理を好んで食べている。一方で、韓国でも和食が人気を集めており、日本食レストランが増えている。このように、飲食を通じた交流は、両国の関係をより良いものへと導く可能性を秘めている。実際に、韓国で日本料理を学んだシェフが日本の技術を取り入れたり、日本で韓国料理を学んだ料理人が現地の味を忠実に再現することで、お互いの国の食文化への理解が深まる。その結果、政治的な問題があったとしても、民間レベルでの相互理解が進み、長期的には関係改善につながる可能性がある。
さらに、「派遣型インターンシップサービス」は、新たな飲食ビジネスの創出にも寄与する。異国の料理を学んだ若手シェフが、新しい形のレストランやカフェを開業する機会を増やすことができる。例えば、日本で本格的な韓国料理を学んだ料理人が、日本で韓国料理店を開業すれば、本場の味を再現した高品質な料理を提供できるようになる。同様に、韓国で和食を学んだ料理人が韓国で日本料理店を開けば、より本格的な和食を提供することが可能になる。こうした新しい飲食店が増えることで、両国の飲食市場がさらに活性化し、新たな食文化の発展にもつながる。また、企業レベルでも、日韓の食品メーカーや飲食チェーンがこの流れに乗り、新たな市場開拓を進めることが期待される。例えば、日本の調味料メーカーが韓国市場に進出したり、韓国の食品ブランドが日本で展開する機会が増えるかもしれない。
このプロジェクトの成功には、いくつかの課題をクリアする必要がある。言語の壁の克服、インターン受け入れ先の確保、宿泊や生活サポートの整備などが重要なポイントとなる。しかし、これらの課題は、適切なパートナーシップと支援体制を整えることで、十分に解決可能である。例えば、事前の語学研修を充実させることで、現地でのコミュニケーションの問題を軽減できる。また、日韓の飲食業界団体や政府機関と協力し、インターン受け入れ店舗を増やすことで、より多くのインターン生が経験を積める環境を整えることができる。さらに、SNSを活用したプロモーションを行うことで、このプロジェクトの認知度を高め、より多くの参加者を集めることも可能である。
総じて、「派遣型インターンシップサービス」は、日韓の飲食業界における技術向上、人材不足の解消、異文化交流の促進、日韓関係の改善、新たな飲食ビジネスの創出という多くのメリットをもたらす。食文化は国を超えて人々をつなぐ力を持っており、このサービスを通じて、より多くの人が本場の味を知り、正しく理解することができるようになれば、日韓の飲食業界はさらに発展し、より豊かな食の未来が実現するだろう。このプロジェクトが実現し、多くの人々にとって価値あるものとなることを願っている。
「派遣型インターンシップサービス」は、飲食業界のスキル向上、人材不足の解消、異文化交流の促進、日韓関係の改善、新たなビジネス創出といった多くのメリットを持つ。課題は多くあるものの、適切なパートナーシップとマーケティング戦略を通じて、実現可能なプロジェクトであるため、食文化を通じて日韓の架け橋となるこの取り組みが、今後の飲食業界に新たな風を吹き込むことを期待したい。
https://www.fancrew.co.jp/news/research/2210korea.html
グラフ引用:株式会社ROIより
記者:神戸国際大学 水本開琉