食から見る韓国文化

弘大の「CAFÉ COMMA」 クリームたっぷりの大きなカステラが人気!断面の迫力がすごい!
弘大の「CAFÉ COMMA」 クリームたっぷりの大きなカステラが人気!断面の迫力がすごい!

韓国で外食に行ってまず驚いたこと。それは、量が多いこと。ごはん屋さんでもカフェでも、1つが大きい、多い。おかずもたくさん出てきて、おかわりも自由だ。「もう少し小さくして、値段を安くしてくれれば良いのに。」と思うことがしばしばある。しかも、2人前からしかないところまである。日本は、大体1つの料理は1人が食べる。量もそこまで多くない。日本と韓国は地理的に近いにも関わらず、多くの違いがある。ここから、韓国の文化について考える。 

≪韓国の食事≫
韓国では、食事をするときにシェアして食べることがほとんどだ。大きな鍋に人数分、いやそれ以上の量が入っていて、自分の箸やスプーンを使って一緒に食べる。日本人からすると、最初から分けてくれないと気まずい、食べにくいと思ってしまう。また、他人のおかずを自分のもののように普通に食べる。家族のように親しく思っている表れだと思うが、日本人からしたら、とても簡単にできることではない。
韓国ドラマでたまに見かけるが、おかずを自分のご飯の上に乗せてくれたり、恋人間では肉をサンチュに包んで食べさせてくれたりする。これは、韓国人が相手においしいものをたくさん食べてほしいという「愛情表現」なようだ。
日本のように初めから平等に分けられていない韓国料理は、相手が遠慮したり、食べるのが遅かったりすると食べられない状況になる。そのような状況の中で、相手にたくさんおいしく食べてほしいという思いから、このような行動になるようだ。子供のときから、親にそうされてきたから、当たり前になって、自然と身についていると思うと納得できる。
日本の食事は、初めから分けて、みんなが食べられるようにする思いやりだし、韓国は初めから分けられていないからこそ、食べているときに相手を思いやって楽しく食べられるようにする。そのように考えると、どちらの文化もとても良いと感じた。 

〔シェアの文化〕
前にも少し述べたように、韓国では、2人前から注文するものが多くある。1人で来た場合はどうするのかとも思うが、1人でご飯を食べている人をあまり見かけないというのも事実である。これは私が実際に行ったお店である。

 

弘大の「ジャンインタッカルビ弘大店」
メインはこのタッカルビしかないが、おいしすぎて3回行った。チーズやラーメン、うどんなどトッピングを言えるのがおすすめ。

聖水の「ETRE BAKE HOUSE」
聖水の「ETRE BAKE HOUSE」

また、韓国のお店では、店員さんがお肉を焼いてくれたり、食べ方を細かく説明してくれたりして、お客さんとの距離が近いように思う。日本語を話せる方も多くいて、日本人だと分かったら日本語で説明してくれてとても驚いた。食べ物の説明だけでなく、「日本から来たのですか?おいしくたくさん食べてね」だったり、「その帽子似合ってます、とてもかわいいです!」と会話したりと、いろいろ気遣ってもらって嬉しくなった。
また、帰り際におまけをくれることもしばしばあり、また来たいと思わせてくれる。
これは、聖水の「ETRE BAKE HOUSE」
塩パンがおいしいと聞き行ってみた。店にはたくさんの種類の塩パン。2階にはイートインスペース。かっこいいお兄さんに栗パンをおまけしてもらった。

永登浦の「マグッカンセンコギ 永登浦駅店」熟成サムギョプサルが最高においしい。韓国の伝統的お菓子薬菓(ヤッカ)をもらえた。
永登浦の「マグッカンセンコギ 永登浦駅店」熟成サムギョプサルが最高においしい。韓国の伝統的お菓子薬菓(ヤッカ)をもらえた。

シェアする文化はSNSでも同じことがいえる。夏に韓国の大学生と関わる機会があり、何人かの韓国人大学生とインスタを交換したのだが、ストーリーの更新度が高い。特別なことでなくても、思ったこと、今やっていることをどんどん上げていく。自分のことを知ってほしいのかとも思うが、韓国人のアイコンやIDはパッと見では誰が誰かが分からない。しかし、韓国人は何も自分を表す要素が入っていない、適当な文字を並べただけのようなIDを覚えているらしい。

弘大の「マカロンロンロン」 夜遅くまでやっていて、種類もたくさん!いろんな味の割れたマカロンをもらった。
弘大の「マカロンロンロン」 夜遅くまでやっていて、種類もたくさん!いろんな味の割れたマカロンをもらった。

日本では、インスタを交換するときにQRコードをつかって読み取ることが一般的だが、韓国では、IDを一文字ずつ打って交換する。それが苦戦しそうなら、相手のスマホを借りて、自分のIDを打って返していたのだが、日本人からすると、QRコードだと相手とスマホを交換して何となく気まずくなることもないのにと思うのだが、そこも、やはり文化の違いだろう。また、自分の投稿でなくても、他の人の投稿にコメントする形でストーリーが更新される。例えば、いっしょにご飯を食べている人をストーリーでメンションし、そのメンションされた人がリポストするというようにするため、同じ投稿を何回も見る。毎日のように外食をしているので、どこからそんなお金が出てくるのか不思議だが、大学生ならではなのかとも思った。

弘大の「ボンガジプ春川タッカルビヨンナム店」 ジャガイモや餅が入っているチーズタッカルビ。〆のキムチチャーハンもおいしかった。飴をもらって午後からの仕事も頑張れた。
弘大の「ボンガジプ春川タッカルビヨンナム店」 ジャガイモや餅が入っているチーズタッカルビ。〆のキムチチャーハンもおいしかった。飴をもらって午後からの仕事も頑張れた。
弘大の「ホンイッケジャン」 初のカンジャンケジャン。店員さんが全部日本語で優しく説明してくれた。おいしさ倍増でご飯が進む。
弘大の「ホンイッケジャン」 初のカンジャンケジャン。店員さんが全部日本語で優しく説明してくれた。おいしさ倍増でご飯が進む。

 

〔口コミ〕
私は、お店を探すときに口コミをよく見るのだが、韓国では、口コミの数がとても多い。しかも、一言だけでなく、しっかりと評価しているものが多く、これもシェアする文化から来ていると考えた。ある定員さんにも「口コミお願いします~」と言われたので、口コミを大事にしているのだと感じた。

 

韓国「NAVER MAP」 口コミの数が、2000、3000と多い。
韓国「NAVER MAP」 口コミの数が、2000、3000と多い。
日本「Google MAP」 口コミの数は、1000に満たないものや、超えてもそこまで多くない。
日本「Google MAP」 口コミの数は、1000に満たないものや、超えてもそこまで多くない。

 

 

〔カフェ〕
韓国には、おしゃれなかわいいお店がたくさんある。外観からしておしゃれで解放感のあるお店がいたるところにあった。くまの顔が書いてあったり、リボンの形だったり、とにかくかわいい。

 

弘大の「CAFÉ COMMA」 クリームたっぷりの大きなカステラが人気!断面の迫力がすごい!
弘大の「CAFÉ COMMA」 クリームたっぷりの大きなカステラが人気!断面の迫力がすごい!
弘大の「CAFE LAYERED」 甘すぎないクリームとサクサクのスコーン。いくらでも食べられるおいしさ。店員さんもかわいくて、日本語でたくさんほめてくれた。
弘大の「CAFE LAYERED」 甘すぎないクリームとサクサクのスコーン。いくらでも食べられるおいしさ。店員さんもかわいくて、日本語でたくさんほめてくれた。

 

〔お店の入れ替わりが激しい〕
カフェに限らず、韓国ではお店の入れ替わりが激しいようだ。流行りのものを扱うお店は、流行っているときは賑わうが、流行が過ぎ去ると、パタッと人が来なくなる。とりわけ、韓国では日本よりも流行りに敏感で、新しいものが来ると、それをシェアして、すぐに広がり、前に流行ったものは置いていかれる。流行りのものを扱うのは難しい。流行りのものではない有名なお店でも、次行ったときにはなかったということがあるようなので厳しい世界だと感じた。
 私も実際に、韓国のサーティワンアイスクリームに行きたくて目星をつけていたところがあったのだが、よくよく調べてみると、もうなくなっていた。そこの店舗は、有名人が多く訪れていて、おしゃれで人気そうだと思っていたので、行くことができず残念に思った。まさか、なくなることはないだろうと思っていたので、行きたいと思ったところはすぐ行くべきだと思った。

 

「Baskin-Robbins BROWN 清潭店」 私が目星をつけていた店舗。芸能人のサインが書かれたサーティーワンのスプーン。2024年1月24日閉店。
「Baskin-Robbins BROWN 清潭店」 私が目星をつけていた店舗。芸能人のサインが書かれたサーティーワンのスプーン。2024年1月24日閉店。

個人的には、K-POPアイドルのTWICEが好きで、TWICEがYouTubeのコンテンツでアルバイトをしていたカフェに行ってみたのだが、まさかの2月からリニューアル工事をしていて入れなかった。その、TWICEがアルバイトをしていたのは、昨年の10月だったので、まだTWICEが働いたという話題性もあるだろうに、リニューアルのために、お店に入れないのはもったいないと思った。私以外の人も、カフェを見に来ていたので、リニューアルをもっと遅くすればよいのにと思った。 

 

〔持ち帰り〕
韓国では、店内で食べていたものでも、お持ち帰りにしてほしいと言えば、お持ち帰りにしてくれるところがよくある。コーヒーも、店内用からテイクアウト用に容器を入れ替えて、氷も足して渡していた。チーズタッカルビの店でも、小さな容器を用意してくれて渡してくれた。
日本のほとんどの店は、食べ残しを持ち帰りにして、何か問題が起こったときに、法律面・衛生面でのリスクが大きいと感じていることから、食べ残しの持ち帰りはほとんど行われていない。しかし、食品ロス問題を解決するために、積極的に飲食店での食べ残しを持ち帰るよう、食事提供事業者側にも、消費者側にも勧めているようだ。
食品ロスのためには、韓国のように気軽に持ち帰られるのが良いと思うから、リスクも大きいとは思うが、良いところはまねをすれば良いと考える。
 
〔持ち込み〉
韓国では、飲食店に別の店で買った物を持ってきて食べることを許容されているところが多い。もちろん店によって対応が変わるのだが、よっぽどのことがない限り許されているようだ。日本では、衛生的にもマナー的にもやらないことなので驚いた。日本がなぜやらないかと言うと、その店の食べ物でなくても、そこで食べて食中毒を起こすと、その店が営業停止処分を受けることがあるからだ。その大きなリスクがあるのに、どうしてこんなにも大目に見られているのかと思った。韓国では、外で買った誕生日ケーキを持ち込んで祝うことは普通のことのようで、ろうそくのライターやスプーンなども渡してくれたところもあるそうだ。ちなみに、ケーキも切ってから食べるのではなく、それぞれのスプーンですくって食べるそうだ。

私もインターン中に、他のインターンの方が誕生日で、ケーキを一緒に食べた。そのときも、切らずにそのままつついて食べた。実際に食べたケーキ。だんだんと崩れていき悲惨な状態になっていくが、味はおいしく、みんなで楽しく食べることができた。


道端を歩いていても、お花屋さんをよく見かけるし、花束を持っている人もよく見かけるため、記念日を大切にし、サプライズをよくするから、他の飲食店の食べ物でも普通に持ち込むようになったと考える。持ち込めたら良いと思うことはあるが、様々な問題があることを頭に入れておかなければならないと感じた。 

 

実際に食べたケーキ。だんだんと崩れていき悲惨な状態になっていくが、味はおいしく、みんなで楽しく食べることができた。
実際に食べたケーキ。だんだんと崩れていき悲惨な状態になっていくが、味はおいしく、みんなで楽しく食べることができた。

 

〔キャッシュレス〕

韓国では、クレジットカードで支払うことがほとんどだ。

 

図を見ると、韓国はキャッシュレス決済比率が95.3%(2021)と圧倒的に高い。日本も最近はキャッシュレス化が進んできていると思っていたが、まだ32.5%と低い値だ。
 なぜ、韓国はこんなにもキャッシュレス化が進んでいるのか。現金をつかうと時間がかかるし、小銭が出てめんどうになることが挙げられる。カードだと早くスマートに会計できるのもキャッシュレス化が進んでいる要因だと考える。とくに韓国は、「パリパリ文化」と言われていて、「パリパリ」は日本語で「早く早く」という意味で、何事も早く行うことが良いとされている。そんな風に、キャッシュレス化は、何でも早く行う韓国人の性格に合っていると感じた。
タッチパネルの中には、テーブルでカードを入れられるところがあって、そこで会計を済ませられるところまである。タッチパネルメニューには大体日本語もあって、韓国語が分からない人にとっては、店員さんと一言も話さずに、簡単に注文できるから良い方式だと思った。 

 

〈健康的!?〉
 韓国にはおいしいものがたくさんあって、量も多いのに、細い人が多いことにも驚いた。日本と韓国はどちらも世界に比べると肥満率は低いのだが、日本の方が肥満率は低いようだ。日本も韓国も米が主食であり、おかず、汁物など偏りがないのが、肥満率が低い要因だと考える。韓国で街を歩いていると、大きくみんなが集まるような公園があり、散歩をしている人や、子供たちと一緒に遊んでいる人、走っている人が多かった。韓国は、見た目重視できれいな人が多い。肌に気を使ったり、ぴちっとした自分の体形を活かすような服を着たりしている。だから、細い人が多く見えると考える。

散歩をしている人や自転車に乗っている人たち。暖かい日が続いており、外で体を動かすのにもいい気温。
散歩をしている人や自転車に乗っている人たち。暖かい日が続いており、外で体を動かすのにもいい気温。


〔人と人との距離感が近い〕
まちを歩いていて、腕を組んだり、肩を組んだりしている人たちをよく見かける。日本人もそのようにする人を見かけるが、韓国に比べると少ないように思う。スキンシップが愛情表現だから、韓国人からすると当たり前なのだと感じた。
 人との距離が近いからこそ、ごはんをシェアしたり、SNSでも盛んに交流したりしているのだと考える。

≪まとめ≫
 韓国は日本より上下関係が厳しく、年齢の違いで距離があるように感じるが、その先輩を思いやる気持ちを分かっているからこそ、ご飯を食べてねと声をかけ、相手に分けて楽しく過ごせるようにしていると考える。また、流行にも敏感で、自分の個性を重視するより流行に乗るのが良いとされていると思う。韓国人は、常に人に見られているという感覚を持ち、人との関わりを大切にしていると感じた。韓国の様々なところを見て、良いところをたくさん見つけた。食事だけでも違いが多くあったし、日本人の私からすると新鮮で面白かったから、これからも違いを見つけて、それぞれの良さを大切にしようと思った。
 

参考文献
【韓国文化】「ひとりご飯ができない」と言われる理由と現在の外食事情 | にゃむにゃむKOREA
【モデル前田エマさんの韓国】食文化とシェア文化を深堀り。ソウルのおすすめカフェ3選もご紹介!〈vol.2〉 | yoi(ヨイ) - 心・体・性のウェルネスメディア
なぜ、韓国人は愛情表現でご飯におかずを載せるのか? | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!
【韓国文化】韓国の女性同士、手をつないだり、腕組みで歩くのはなぜ…? | オソオセヨ【韓国文化コミュニティ】
資料5_法的措置に係る検討上の論点(案)
Obesity and overweight
【肥満いない】韓国人がよく食べるのに太らない理由【習慣】 | Moefuldays

記者:埼玉大学 堀田菜央